就業規則の有効性② 問題社員の解雇

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就業規則の有効性② 問題社員の解雇

結論から言ってしまいますと,
就業規則がないと,実務上解雇が困難
といえると思います。

そのため,解雇の運用を視野にいれる場合は,
最低限,就業規則を作成しておく必要があるでしょう。


少し補足説明します。

そもそも,従業員を解雇することは容易ではありません

法律上,会社には従業員を解雇する権利があるのですが,
その権利は強く制限されているのです。

まれに,社長様のなかには,

30日前に解雇予告すれば解雇できる
解雇予告手当を払えば解雇できる

などと,思われている方がいらっしゃいますが,
これは誤解です。


解雇を行う手続き上,
「解雇予告」又は「解雇予告手当」は必要ですが,

解雇予告(手当)さえ行えば,
解雇が有効となるわけではありません。

解雇予告の有無と,解雇の有効性は
また別の問題となります。


解雇の取り扱いは,
労働契約法第16条において以下のように定められています。

「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,
社会通念上相当であると認められない場合は,
その権利を濫用したものとして,無効とする。」

見て頂いてどのような印象をお持ちでしょうか?
あいまいな取り扱いだとお感じになられないでしょうか。

じつは,解雇に関して
「こうすれば100%解雇が有効または無効」といった
具体的な方法は明確化されていません。

そのため,

「客観的な合理性があったのか?」
「社会通念上相当と認められるのか?」

という点で,事案ごとに解雇の有効性が争われるのです。


解雇の有効性を主張するため必要なものは,沢山あります。
就業規則の存在も,そのひとつです。

平成16年の労働基準法改正において,
「解雇の事由」を就業規則へ記載することが義務付けられました。

このことからもわかるように,解雇を行う際には,
就業規則の存在と,そこに記載される「解雇の事由」
非常に重要といえるでしょう。


ただし,就業規則もただ作成すればよい,
というわけではありません。

就業規則に「解雇の事由」を定める際には注意が必要です。

就業規則を作成運用すると,その内容は労使間の契約内容となります。
そのため,当然その内容に会社側も拘束されます。

不用意に「解雇の事由」を作成すると,意図せずに解雇事由が厳格となり,
自ら解雇に制限をかけてしまう場合があり,注意が必要です。


例えば,就業規則に以下の解雇事由を定めたとしましょう。

「再三の注意にも関わらず勤務態度に改善がみられないとき」

一般的な就業規則にありそうな規定ですが,
この内容では,”再三の注意”をしないと解雇できない様に,
自ら制限をしてしまっているともいえます。

ケースバイケースではありますが,従業員数名規模の会社の場合は,
条件を設けず「勤務態度が不良で,その改善がみられないとき」程度に
定めることも検討すべきでしょう。

細かい話になってしまいますが,それだけ解雇事由を定める場合には,
細心の注意を払う必要があるということです。


就業規則の作成義務のない
従業員数10名未満の会社の場合も補足しておきます。

法律上,就業規則の作成義務のない会社の場合は,
“就業規則がないと解雇が絶対にできない”とまでは
言えないと思います。

ただし,解雇を行う際には,
「打てる手は全て打つ」「万全を尽くす」が基本です。

そのため,従業員数が10名未満であっても,
就業規則を作成しておくことをおススメします。

「解雇の事由」をなるべく明確化しているほうが,
解雇の有効性を主張するうえで有利に働くことは間違いないからです。


さて,いかがでしたでしょうか。

問題社員の解雇を考えるで,
就業規則が非常に重要なツールであることを
少しでもご理解頂ければ幸いです。

問題社員への対応でお困りの経営者様!
ぜひ就業規則の作成をご検討下さい!





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